ILC Supportersスペシャル鼎談「山下教授」×「現役大学生」NO.2

2018-10-18T11:39:35+00:005月 28th, 2018|0 Comments

ILC Supportersスペシャル鼎談「山下教授」×「現役大学生」NO.2

~Science For  Peace~


現役大学生がILCについて、東京大学の山下教授に色々な質問をぶつけていきます。

ILCをもっと身近に感じていただけるような内容になっていますので、是非お読みください!

※この記事はILC学生サポーターズの高島が、「ILC Supportersスペシャル鼎談「山下教授」×「現役大学生」鼎談 NO.2」の様子を書き起こしたものです。


上山晴美(学生インタビュアー以下「上山」):ILCの研究に何カ国が参加していますか?

山下了教授(以下「山下」):だいたい50カ国がすでに参入していて、企画段階でこの数の国が参加しているのは珍しいです。最終的には100以上の国         に参加してほしいと考えています。ジュネーブにあるLHCも100以上の国が参加しています。

上山:そんなに多くの国が参加しているんですね!

山下:特殊な分野なので、普段紛争が起きていたり、国同士が仲悪くても、研究においてはみんな一つになるんです。全ての大陸、至る場所から科学者が集まって、一緒に議論しています。

高島未由宇(学生インタビュアー以下「高島」):研究に国境は関係ないって、本当だったんですね。

山下:そう、国境は関係ないです。利害が関わってくると揉めてしまいがちですが、宇宙とか自然の研究は利害関係なくみんなが一つになれる分野です。地球温暖化に対しても、国関係なくとるみんなで対策してきたでしょ?

上山:そうですね!

山下:宇宙や自然は私たちにとって、一つしかないから、誰かが得するわけではなく、みんなで仕組みを解明して、みんなで発見していこうという、全ての人が仲間になれるすごく珍しい分野です。

上山:そのような多くの国が参加するプロジェクト、なぜ日本でやることになったんですか?

山下:実は日本だけでなく、アメリカもヨーロッパもやりたいと手を上げていたんですよ。ただ三ヶ所でやるよりも、一ヶ所に集まってやった方が効率がいいので、2004年に研究者全員で話し合いを行いました。技術力や研究を進める方式を検討して、どこが一番いいのかみんなで決めました。それまで研究している国によって、名前が違ったんですけど、ILCという名前に統一しました。

上山:ILCはどういう意味ですか?

山下:国際リニアコライダーです。リニアは直線で、コライダーは衝突をさせる装置を意味します。

ちょっと硬いかな、なんか可愛い名前つけてください(笑)

高島:小学生に考えさせたらいい名前出てきそうですね!

山下:そうですね!実はこういう宇宙の研究については、大人よりも小学生の方が本質を捉えてくれるんですよ。

高島:確かに小学生の方が柔軟的な考え方をしてますね!

山下:そう、大人は様々のことを考えすぎて、研究を自分から遠いもののように感じしてしまうんですが、実はそんなことなくて、日本にILCの研究所ができて、身近で色んな国の人が一つになって新しい風を吹かせながら研究を進めている、それだけでもワクワクしていいはずなんですよね。

上山:そうですね。

山下:ただ、ILCを知っている人がまだまだ少ないです。ちなみに、加速器ってご存知でしたか?

上山:全然わからなかったです。加速器って何を加速させているんですか?

山下:リニアコライダーの場合は、片方からは電子、もう片方からは陽電子を流します。陽電子って聞いたことありますか?

上山:聞いたことないです、どんなものですか?

山下:プラスの電気を持ってる素粒子です。電子はマイナスの電気を持っているので、その反物質ですね。

高島:反物質ってまた難しい言葉ですね…宇宙研究に使われていそうなイメージがあります。

山下:実は身近ながん診断にも使われています。PET診断では、まず加速器で陽電子を作って、グリセリンとか糖、栄養になる物質とくっつけて一緒に人の体内に入れます。ガンはものすごく増殖するので、栄養が欲しいんですよ。体内に入ったグリセリンががん細胞があるところに集まり、陽電子が放出され、近くの電子と合わさって、ここでプラスの陽電子とマイナスの電子が合わさると、どうなると思いますか?

高島:衝突して、何かができるんですか?

山下:実はプラスとマイナスが合わさると、二つの物質が消えてなくなるんです。でもその分のエネルギーが残ってそこから新しい物質が生まれます。PET診断の場合はエネルギーが低いので、光の粒が二つ飛び出ます。

高島:光の粒ですか?

山下:そうです。光って実は小さい粒ってできてるんですよ。今も何兆個もの光の粒がこっちに飛んできています。人間の技術はすごく進んでいて、光の粒の一つ一つを感知できるようになったので、それによってがんの位置を特定しています。これが陽電子を使った医療の最先端の手法です。

上山:なるほど。リニアコライダーも同じ仕組みですか?

山下:リニアコライダーの場合は、もっと大きいエネルギーが必要なので、やり方が違います。まず、電子を金属にぶっつけます。PET診断は衝突によって光の粒を作るんですが、リニアコライダーの場合は電子と陽電子がそこから生まれます。加速器によって反物質を作るんです。そこで生まれた陽電子はすごいスピードが早くて、それを今度は違う方向から電子と衝突させます。そうすることでものすごく大きなエネルギーができます。

高島:え、そんなに大きい衝突って危なくないですか?

山下:大きいって言っても実際は蚊が飛ぶくらいのエネルギーなんです。ただすごく小さいところで行った実験なので、エネルギーの密度が非常に高いです。宇宙創成の時と同じくらいのエネルギーです。

上山:そうなんですね!そこからさらに何かが生まれるんですか?

山下:そうです。さっきは衝突によって光や、電子陽電子が生まれる話をしましたが、今度はすごいエネルギーなので、そこから新しい素粒子であったり、暗黒物質が生まれる可能性があります。普通では簡単に作れない何かが、そこでは生まれるんですよ。それを検知することで、自然が生まれた一番最初の仕組みがわかるという不思議な装置です。

高島:面白いですね。自然の最初の仕組みがわかるというのは、この衝突が自然の初めの状況に似てるってことですか?

山下:宇宙ができる瞬間と似ているんです。その瞬間を再現するので、ビッグバン再現計画とも言われています。このやり方は昔からあって、前はコライダーという方法で、円形で電子と陽電子をぐるぐる回して加速させて衝突させていました。ただ円形で出せるスピードに限界がきて、さらに加速するために直線加速のリニアコライダーを作りました。

高島:ILCはもう完成しているんですか?

山下:ILCを作るための装置もすでに出来上がっています。加速器で電車に似ていて、いくつもの加速器を繋がるんですよ、それを1000本繋いだのがリニアコライダーです。100本繋いだものはすでにできて、違う用途で使われています。

高島:いつ頃完成する予定ですか?

山下:東京オリンピックが終わって、パリオリンピックの前には作り始める予定です。だいたい2022年から10年かけて作って、2032年に完成する見越しです。

高島:10年かかるんですね!

山下:そうです。9年間かけて作って、1年間試運転で10年です。宇宙の研究って農業と似て、とても時間がかかって、1世代では終わらないんです。その間、各国の研究者がずっと同じ場所に居続けるというのも、一つの特徴です。

上山:異国の文化を理解したり、伝授するいい機会にもなりますね!

山下:そうですね。私もLHCの研究でスイスで6年くらい滞在し、ヨーロッパ文化にはだいぶ慣れました。ただ、研究は本当に大変でした。みんなで平等に研究を行うんですが、その中ではすごい競争もあります。コライダーの衝突は1秒間何万回も起こるので、とんでもないビッグデータになるんです。それを一つずつ分析していきます。みんなで同じのデータの研究をしているので、国籍とか全く関係平等の世界だが、みんな我先が一番いいデータを挙げようと必死になっていて、すごく健全な競争を日々しています。すごい発見があると、みんなでそれを賞賛します。

上山:まさに理想的な世界ですね!

山下:そうですね、よくScience For  Peaceって言うんですけど、本当に平和であり、競争もあって、素晴らしいチームだと思います。このチームが今度日本でできるってすごくないですか?

高島:すごく光栄なことですよね!世界中の人に日本の魅力を伝えるちゃんすでもあるので、もっと多くの人に知ってもらって、関わってもらいたいですね!

山下:そうですよね!これが社会学的なリニアコライダーです。もちろん技術もすごいんですけど、科学と技術は少し違います。

上山:どう違うんですか?

山下:技術は目に見えてすぐ使える、役に立つものですが、科学はワンテンポ置いて仕組みを作りつつ、人を育てて、その仕組みによって技術がさらに伸びて、文明を、ビッグジャンプを作るものです。

高島:なるほど。ILCがどんな科学になっていくのか楽しみですね!

最後に、ILCのさらなる発展のために、私たち学生ができることは何かありますか?

山下:まだまだILCを知らない人が多くいるので、学生の皆さんにはILCについて知ったこと、感じたことを周りの人に伝えていってほしいですね。より多くの人に知ってもらって、一人一人が「これはすごいな」、「これはいけないな」という意見を持ってもらうことがとても重要です。学生さんは実は一番拡散力があって、意見を自由に言える立場でもあるので、どんどん広げていただきたいです。それが一番お願いしたいことです。

上山:わかりました!精一杯広げていきます!

本日はありがとうございました。

学生プロフィール

 

☆上山晴美 法政大学文学部地理学科3年

☆高島未由宇 東京外国語大学言語文化学部中国語専攻4年


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