森本晃司氏 × 山下卓氏 × 小林治氏対談 「ILCで未来を感じよう」篇

2018-07-19T00:35:44+00:007月 19th, 2018|0 Comments

ILC Supportersスペシャルトークショー「ILCで未来を感じよう」篇

ILCで「未来」を感じよう

塚本歩美(学生インタビュアー以下「塚本」):素粒子加速器を知ったきっかけはどういうものだったんですか?

森本晃司氏(以下「森本」):初めて「素粒子加速器」という言葉を聞いたのは約12年前ですね。筑波にあるKEK(高エネルギー加速器研究機構)で加速器の見学会をやっていたので、友人たちと一緒に見学に行ったのがきっかけです。そこで初めて加速器を見たんですけど、最初はなんなのかよくわからなかった。高島さんは加速器って知ってますか?

高島未由宇(学生インタビュアー以下「高島」):電子を加速させる機械ですよね?

山下卓氏(以下「山下」):そうそう。電子と陽電子を光と同じ速さまで加速させて、ぶつけるための装置です。

高島:なんのために加速させるんですか?

山下:すごく簡単に言うと、素粒子をどんどん加速させると、周囲にあるいろんな素粒子を巻き込んで雪だるま式に素粒子の塊を大きくすることができるんですよ。加速が速ければ速いほど、どんどん大きくなっていき、その2つの塊をぶつけることで宇宙が誕生した瞬間に似た爆発が起きる。その瞬間に、まだ人間が見つけていない新しい素粒子が発見できると言われています。加速器はそのための装置なんですよ。

小林治氏(以下「小林」):ILCは新しく建設を計画している最先端の素粒子加速器だよね。ただ、僕が初めてILCの話を聞いた時、加速器ってもうあるじゃんって思ったんですよ。筑波にもあるし、スイスのCERNにも巨大な加速器があるからね。ILCとこれまでの加速器の違いは直線であるか円形であるかということなんだよね。

山下:うん、これまでの加速器は円形のものだったんですが、ILCは直線なんです。円形の加速器では素粒子を加速させる速度に限界が来てしまったので、そこから先の宇宙が誕生した瞬間に近づくために、新しい装置が開発されました。円形ではなく、直線で加速させることで、もっと大きいエネルギーを持った素粒子の雪だるまを作れるようになったんです。

小林:直線にすることで、電子と陽電子をぶつける時の精度も上がるらしいよね。

塚本:みなさん、詳しいんですね!

 

「常識が変わる?」

小林:僕は科学好き少年だったから、こういう話が好きで(笑)。加速器についても元々好きだったんですが、直線の加速器(ILC)の存在は最近知りました。

山下:直線の加速器を使うと、これまで再現することができなかった、宇宙が誕生した直後、およそ1兆分の1秒後の世界を再現できるらしい。1兆分の1秒なんて仏教の世界で言う「刹那」みたいなものだけど、そんな一瞬の間にこの宇宙が誕生していたわけですよね。

森本:大切なのは遠くにある宇宙も目の前にある宇宙もつながっているということ。宇宙の始まりを知ろうとしても、ビックバンの直後にあったはずの物質が、今は地球上にないんですよ。それを取りに行きたくても、たとえば何億光年も離れた宇宙にあったりして今の人類の力では取りに行けない。だから、この地上にビッグバンを作り出すことで、最初の物質を作り出せるのではないかという仮説を立てて、研究を続けているんですよね。その物質を見つけることで、世の中が大きく変わることはいっぱいあると思います。今まで思っていた常識が根本から変わるような発見もあるかもしれない。

塚本:たとえばどんな変化が考えられますか?

森本:真っ先に思いつくのは新しいエネルギーとかね。石油や原子力に変わるエネルギー源が発見されるかもしれないし、もっと根本的には、今は「電気」が中心の世界だけれど、まったく新しいエネルギーが発見されたら世界の様相も一変するでしょう。

 

「世界共通の『タネ』」

山下:そもそも、今世界を動かしている「電気」というエネルギーも素粒子物理学の世界で、およそ150年前に「電子(Electron)」という素粒子が発見され、その100年後の世界でやっと「電気」というエネルギーとして実用化されたんですよ。

森本:今やっている研究は、将来につながる「種子」を見つけようとしているんです。世界共通の「未来の種子」を。ILCができるのは早くても15年後。そこで発見されたものが実用化されるにはもっと時間がかかるでしょう。でも、それは新しい世界を生み出す種子なんです。これからの子どもたちに、新しい発見をどんどんしてください!という最初の根っこの部分を作ろうとしているんです。

小林:ILCの「I」はインターナショナルの「I」で、日本とかアメリカが一国で作って使うものではなく、世界共通の財産なんだよね。だれかがこの設計を持っていて、お金が儲かるという次元の話じゃないんです。だれにも独占できない「人類全体の財産」を世界中の人達と一緒に生み出すことにこそ価値があるんだと思う。

 

「科学とは本来ワクワクするもの」

山下:さっき森本さんが触れていた新しいエネルギーの話で言えば、「重力」の秘密がわかったら、ほんとうに世界の様相が変わるんじゃないかと言われていますね。

高島:「重力」ってまだ解明されていないんですか?

山下:物理学者の間では一番の謎と言われているようです。学校とかで普通に習うのでなんとなく解明されているような気がしちゃいますよね。でも、この世界がどんなふうにできているのかは実はまだ90%以上が謎のままらしい。

小林:僕たちがアニメーションを作っているSFの世界では重力を制御する技術はもうとっくにできてるんですけどね(笑)。

森本:私たちが子供の頃って科学が発展した未来を想像できる漫画や小説の世界にワクワクしたけど、最近あまりないよね。ILCが出来るとようやくその先が見えそう。科学にまだ未来があるなんて、今の人は、あんまり思わないでしょ?

高島:生活の中で科学について考えることはあまりないかもしれないです。

小林:最近は日本の経済が右上がりでなくなっちゃったんで未来に対して希望が持てない空気があるけど、そういう時にこそ、ワクワクできる科学っていうのが重要なんじゃないかな。

山下:月に行くって聞いても別にもうワクワクしないものね。

小林:俺、火星だったらちょっとワクワクします(笑)。

山下:昔はけっこう本気でワクワクしていたよね。火星人はいるのか、火星の上にピラミッドがあるんじゃないか、水路があるんじゃないか、文明があったんじゃないかって。これから「うわ、タイムマシーンほんとに作れんのか!」みたいなそういう世界に行ってほしいなというのが僕らの願いですけど。

森本:人間がイメージしたものはすべて叶っていますからね。

小林:イメージすればきっと叶えられます、作れます!

塚本:ILCで「未来」を呼び込まなきゃですね。

 


いかがでしたでしょうか?
次回は森本晃司氏 × 山下卓氏 × 小林治氏対談 「科学とロマン」編をお送りします!!

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